「ロックが僕を変えた」
ギター弾けねえよ、歌うたえねえよ。
だから何だ!ロックやるのに
そんな条件いるのかよっていう
ロックンロールの原初的快感に、今あらためて立ち戻らんとするザ・ハイロウズ・甲本ヒロト「沈んでいた」少年期のロック原体験話から、ブルーハーツ結成時の絶対的確信・その後の試行錯誤、そして心機一転のザ・ハイロウズにおける〝ロック馬鹿〟観まで
インタビュアーとすったもんだしながら繰り広げた、ザ・ハイロウズの実像に迫る1時間半、一挙公開!
BRIDGE (季刊 CUT) 1997年 (平成9年) 2月号 巻頭特集 (株式会社ロッキング・オン) インタビュアー:渋谷陽一さん
ーーハイロウズはさ、割とロック、ロックっていうのをテーマにしてるんだけど、ヒロトの最初のロック体験っていうかさ、これだ!みたいなのは何だったの。
「うーんとね、ラジオ。FMラジオで60年代ビート・グループの特集番組を聴いたのがきっかけ」
ーーいつくらいの事?
「中学1年の時かな」
ーーそれ以前のロック体験って全然ないの?
「うん。僕、ロックっていうのは僕には関係ないものだと思ってたし、なんかね、乱暴な感じのするものとかってあんまり好きじゃなかった」
ーー心優しい少年だった。
「いや、っていうかあの、穏便に…」
ーー(笑)何だよ、穏便にって。
「何て言うかこう、何事もなく日々が過ぎていけばいいなと。波風立てる事ないじゃないですか、みたいな。思ってたよ」
ーーあ、そう。じゃ、学校でも喧嘩ばかりしてるってそういう感じじゃなかったんだ。
「全然。喧嘩は今でもずっと、弱いですよ。勝った事、ないんですよ」
ーー(笑)だけど時々、する事はあるぞ、みたいな。
「それはね、だから一方的にやられて、逃げられない状態。一方的に殴られるとか。そういうのは喧嘩って言わないですよね(笑)。いじめられてる(笑)」
ーー(笑)で、音楽的な志向性も、そういう暴力入ってたり、乱暴だったりするのはあんまり好きじゃなかったんだ。
「それどころか、音楽はどうでもよかった」
ーー前、言ってたよね。そういうふうに。じゃ、本当に興味なかったんだ。
「うん」
ーー例えば、ヒロトはテレビすきだから、テレビの主題歌とかそういうのはあった。
「そうそう。それはでも、あくまでも『ウルトラマン』が好きであって、その大好きな『ウルトラマン』の主題歌って事ですよね。だから、それだけ単体でいきなり、パパパパーン!なんて聴いても、『ウルトラマン』知らないであの歌聴いても、何の感動もないじゃないですか」
ーー(笑)じゃあ、テレビの主題歌もそれはそれでしかなくて、ましてやレコード買ったりなんかっていうのは、全然なかったんだ。
「それがね、小学生の時かな、西城秀樹さんのなんかの曲をテレビで見て、ちょっとカッコいいなと。自分にない、自分の絶対なれない大人の姿。だから僕の想像する大人の自分は、ボーッとして座ってて、親に養ってもらってて」
ーー(笑)だって、大人だろ?
「いや、っていうか、働かないで親に養ってもらいながら、当然車の免許とかも何も持ってなくて、テレビの前に座ってご飯ですよー、とかおやつですよーとか。だから子供と大人の違いはー僕にとってのねー子供から大人になるって事は、学校に行かなくなるだけだ(笑)」
ーー(笑)それ、いくつぐらいの時?
「小学校6年くらいまでそう思ってたよ」
ーーそれってすごく、頭悪くない?
「頭悪いと思う。でも、それ以外に思いつかない。想像力が働かないの、それ以外に。全くリアルじゃないし、自分が働いても、多分、人に迷惑かけるだろうし。うん。そんな感じだった。
ところが西城秀樹を見た時に、何かしら自分が能動的になった。裏の俺みたいな奴が(笑)、一瞬見えたんですよ」
ーー(笑)裏ヒロト。
「うん。なんかほとんどの大人がリアルに見えなかったのに、ほんの少しリアルに見えた」
ーー西城秀樹が。
「うん。小学校の4年生ぐらいかな」
ーーこれはあるかもしれない、みたいな。
「カッコいいなぁと思ったけど、でもまぁ、僕の実力では無理だろうと。そんな感じでしたね」
ーーだけど鋭いよね。西城秀樹を見て、自分の裏がそこにあるかもしれないと思った直感はすごく正しかったんじゃない?今にしてみれば。
「ああ。うん、それはでも、憧れっていうのかもしれないし」
ーーだけど、そういう、例えば西城秀樹的なるものは、全然なかった訳じゃない?
「全然なかったよ」
ーーなかったけども、ひょっとしたら、これは自分の裏側にあるかもしれないという直感を感じたっていうのは、鋭かったよね。
「うーん……うん」
ーー俺、西城秀樹見たってさ、自分と地続きのものはゼロだよね、やっぱり。何の連想もないよ(笑)
「うん。……ま、それは一瞬、そういう事もあったっつう感じですね」
ーーいや、だけど僕から見るとすごく興味深いけどね。だって、ステージ・パフォーマンスをやってる時のヒロトっていうのは、あれだけぶっちぎれている訳じゃない?で、小学生の頃、ああいう自分の要素って知らなかった訳でしょ?
「うん」
ーー例えば小学5年生の君が、今のヒロトを見て、自分の将来の姿とは絶対思わない訳でしょ?
「すっごく驚くと思う。すんげぇ驚く。信じられないと思う」
ーーだけど事実はそうなんだからさ。
「うん。そうですね。そうなんだよ。なんかだからね、西城秀樹を見た時に、ああ、この人は喧嘩強いんだな、きっと。それは俺と違う。正反対だ。あ、スポーツ出来そうだぞ。僕全然スポーツだめなんですよ」
ーー運動神経ありそうだけどね。
「それが、からっきしなの。そんで、あ、野球もうまそうだなとか、あと、きっとオートバイなんかも乗ってそうだぞとか、いろんな想像。生活力がありそうだとか(笑)。いろんな想像が膨らんだんですよ。小学生の僕にとっては。それはもう女性にもてる要素ってのを、いろいろ兼ね備えてる人だと思った。人前であんなカッコいい洋服なんか着て、髪伸ばしたりなんかして、思いっきり歌ったり踊ったりしてる。すごいなぁ、と思ったんですよね」
ーーだけど、なんか自分とは全然関係ない、変わった人っていう発想じゃなくて、裏ヒロト的なものを見たっていうのは、やっぱり何がしか自分の中におけるそういうものを、きっと知っていたんだろうね。小学校の頃も。自覚的ではなかったんだろうけど。
「何かしらのカタルシスを感じたんじゃないですかね。スカッとするよな。ロックのスカッってそういうの、あるじゃないですか。自分は何もしてねーのに、なんかフーの〝マイ・ジェネレーション〟むちゃくちゃでけー音でかけて、『ザマミロ、コノヤロウ!』って鼻息荒くなってるような」
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甲本ヒロトの「生きててよかった10個の事柄」
“西城秀樹さんが『ギャランドゥ』を熱唱するバックで、バックダンサーとしてテレビに映った。秀樹さんはどうだったかわからないけど、僕は最高だった。生きててよかった!”
ブログ主様、書き起こしをありがとうございます。
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HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP (フジテレビ) 1996年(平成8年)6月24日放送

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『西城秀樹ROCKトリビュート KIDS' WANNA ROCK!』1997年
情熱の嵐 ザ・ハイロウズ